FANTOM6 Phase2

FANTOM6 Phase 2では、ノンコーディングエレメントがゲノムおよびトランスクリプトームとどのように物理的に相互作用し機能するかを解明することを目的とします。lncRNA およびエンハンサーRNAの包括的カタログを得るために、CAGE とcap-trapped full-length cDNA long-read sequencing(CFC-seq)を用いて、iPS細胞から皮質ニューロンへの分化、単球からマクロファージへの分化、さらにより広範なヒト細胞パネルにおいてシス制御エレメントや新規 lncRNA を同定しました。また、RNA–DNA、RNA–RNA、DNA–DNA の物理的相互作用を、RADICL-seq、PARIS-seq、Hi-C を用いてそれぞれマッピングしました。これらの相互作用に機能的な意味づけを行うため、scRNA-seq、scATAC-seq、CUT&Tag、CRISPRi ベースの遺伝子スクリーニングなどの実験も行いました。

FANTOM6 Phase1

FANTOM5では、膨大に同定されたlncRNAカタログを基盤としたヒトゲノムの転写ランドスケープが構築されました。FANTOM6 Phase 1では、その中から数百の lncRNAを選び、高効率で増殖する2種類の細胞—ヒト真皮線維芽細胞および誘導多能性幹細胞(iPS細胞)—を用いた機能的摂動実験を行いました。摂動はGapmeRアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いることで、ゲノム改変を伴わずに特定のRNA分子を標的に行いました。細胞および分子表現型は、リアルタイムイメージングと CAGEベースのトランスクリプトーム解析により体系的に評価し、lncRNA の多様な制御機能に関する新たな知見が得られました。

FANTOM5

私たちは約400種類の異なる細胞型から構成される、複雑な多細胞生物です。この細胞型の多様性によって、見る・考える・聞く・感染と闘うなどの機能が可能になりますが、これらはすべて同一のゲノムにコードされています。 これらの細胞の違いは、ゲノムのどの部分を利用しているかにあります。例えば、神経細胞は筋肉細胞とは異なる遺伝子を用いるため、その働きも大きく異なります。FANTOM5では、ヒトの体内に存在するほぼすべての細胞型において、実際に使われている遺伝子の集合が何であるか、また遺伝子がどこから読み取られるかを決定するゲノム領域がどこであるかを体系的に調査してきました。私たちはこの情報を用いて、ヒトを構成するさまざまな細胞について転写制御モデルを構築することを目指して様々な転写アトラスを構築しました。

FANTOM4

FANTOM4では、単球細胞の分化過程における転写開始点(TSS)の動的活性をdeepCAGE法で経時的に解析しました。得られた各プロモーターからの遺伝子発現レベルのデータと転写因子結合部位の推定データを使い、転写制御ネットワークモデルを構築することに成功しました(Suzuki et al. 2009)。 また、転写開始RNA(tiRNA)、レトロトランスポゾン由来の転写産物の発現、転写因子間相互作用による制御機構の関係についても報告しました。

FANTOM3

FANTOM3では、完全長cDNA技術に加え新たに開発したCAGE法を使い、従来考えられていた、ゲノムの約2%の領域しか転写されていないという常識を覆し、実際には63%以上がRNAとして転写されていることを示しました。さらに、それまでは100個程度しか知られていなかったノンコーディングRNA(ncRNA)が、2万3000個以上も存在することを明らかにし「RNA新大陸」の発見として教科書を書き換える成果となりました。また、転写産物の73%以上がセンス/アンチセンスペアとして転写されていることも発見しました。これらの研究成果は、Science 誌のRNA特集号に発表されました (Carninci et al. 2005; Katayama et al. 2005) 。

FANTOM2

60,770セットのマウス完全長cDNAの塩基配列および機能注釈を行いました。この活動は、世界で初めて哺乳類の完全長cDNAの標準化を行ったものです。成果は、2002年のNature誌、マウスゲノム特集号に発表されました(Okazaki et al. 2002)。

FANTOM1

かつてない大規模な遺伝子解析を実施するにあたり、遺伝子の機能注釈のルールや方法について取り決めを行い、遺伝子の機能注釈を効率的に行なうシステムを開発しました。研究成果は 2001 年のNature 誌に発表されました (Kawai et al. 2001) 。 この論文で発表された完全長cDNAデータは、1週間後に同じくNature誌に発表された国際ヒトゲノム計画の論文 (Lander et al. 2001) で、推定遺伝子数の検証のために使われています。